昨年末から配備され始めた米軍の新型正式ピストル
本家SIGのプレスリリースページの日付をみると、昨年2017年11月27日となっている。もうとっくに配備が始まっていたのだ。我が国が戦争当事国になりそうな昨今、安全保障・軍事に興味を持っていたはずが、怠けていてすっかり情報を拾い損ねた。ゲームばかりやっていたのがイケないんですね。偶然に見たYouTubeの米軍公式チャンネルで、配備開始と試射の動画を見て気が付いた。まずびっくりしたのは、『この色なの!?』ってところ。デザート使用なのかもしれないけど、なんかカフェオレみたいな色で嫌だなぁ。黒だと結構カッコいいよ。個人的にはワルサーP99が好きなんだけども。 しっかし、Amazonって何でも売っているんだねぇ。実弾使用のカジュアルさが羨ましい
動画を見ると、米軍はどんどん実弾で試射できており、軍隊として恵まれているなあと思います。自衛隊なんて、どれくらい実弾を使って訓練しているんでしょうか。たまに報道で、「訓練後の薬莢の確認で、一発足りないので全隊で探している。自衛隊曰く『大変申し訳ない』。」なんてニュースをみると、アホらしくて自衛隊がかわいそうになる。でも、そんなことがニュースになるということは、実弾の訓練は頻繁にできていると考えて良いのかな.....? 米軍では屋内での発砲後の薬莢を、掃除という意味では回収はするだろうが、数えて残量と参照なんかしていないと思う。というか日本だけじゃないかと思ってしまう。こんなバカらしいことを強制するなら、いっそリボルバーでもいいや!と自嘲気味に思ってしまうが、もしリボルバーにしたら、各国との合同軍事演習とかで理由を訊かれた自衛隊員が恥ずかしい思いをするのだろうし、6発は戦闘には少なすぎる。やっぱり、ありえん。 平和を教条的に唱えたり自衛隊に反対しても、結局、いざ有事となったら自衛隊に私達は守ってもらわなくちゃならないのに、彼らに対してこの扱いは何だろう。天安門の国とロケットマンの国・慰安婦像の国、暗殺大好きプーさんの国などに接し、今や屈指の危険地域になっている北東アジアで、専守防衛なんて危なっかしい自殺願望のドクトリン。さらに自衛隊には雁字搦めの非現実的なルールを押し付け、果ては雪掻きや雪まつりの雪像づくりにこき使い、便利なタダ働きの肉体労働者くらいの扱い。しかもこれで、『日本が周辺国に攻められても必ず勝て』を求めるなんて、あんまりだ。もし日本が中国の共産党の軍に敗北しても自衛隊の責任じゃない。『手足縛って、最初に殴られるまで何もするな。でも絶対に勝て。』と無茶なことを要求した、我々国民の責任だわな。 なぜティッシュ付きなんだw 東京マルイさん。どこかで、米海兵隊員は年間約6,000発の実弾を撃つと聞いた。確かアフガニスタンかイラク戦争の頃のCNNだったかなー。その数に驚いたけど、やっぱりそれくらい撃ってもなお、いざ実戦で急に至近距離で目の前に敵が現れたら、トリガーを引けるのかわからないな。第2時大戦で、米兵が初戦でトリガーを引けたのは、だいたい20%くらいと側聞で聞いた。当局が『これじゃ不味い』となって訓練を重ね、ベトナムでは約60%だと。ただしソースは不明。ここ重要。まあ、急拵えの徴兵による兵士と、職業軍人では全然違うだろうけど。やっぱり軍人や警官などが、実弾を沢山撃つのは大事だよなー。いざって時に、守るべきものが守れないなら意味がないし。
M17&M18(SIG SAUER P320)への要求
シグ・ザウエルなのかシグ・ザウアーなのかは置いといて、こいつの特徴をまとめておき備忘録としておこうっと。米軍が時期制式拳銃に求めたのものはいろいろあるそうだ。- 軽さ
- 扱いやすさ
- 耐久性
- 頑丈さ
- 手の小さな兵士でも扱える
- 左利きでも無理なく使える
- 必要に応じて使用弾薬を変更できる
- 安さ
- かっこいい(ウソ)
M17の概要
あんまし詳しくないけど、公式ページを見た限りで列挙してみた。- モジュラー方式
- ポリマーフレーム
- ストライカー方式(ハンマーが無い)。
- 信頼性の高いセイフティー(米軍はサム・セイフティーがあるタイプ)。
- スライドリリース・レバーが左右両方にある(左利きへの配慮)。
- マガジンリリースボタンを左右どちらにも付け替え可能(左利きへの配慮)。
- グリップを大・中・小と変更できる。
- マズル・アタッチメントを付けられる(サプレッサーとか)。
- 夜間照準機能あり(蛍光式サイトかな)。
モジュラー構造
もっともキモな部分と思われるモジュラー式という部分について。これはフレームやスライドなど銃の本体部分と、ストライカーやトリガー部分はそのままに、バレルやチャンバー部分を別口径用のものに交換できる。というものと自分は理解している。でも自信ない。実際にモジュラー式の拳銃は撃ったことがないし、モジュラー交換している様子をみたこともないからだ。だから間違って理解している可能性がある。信じちゃダメ。絶対。 モジュラー方式ってことは、要するに複数の口径の弾丸が使えるように、内部パーツを交換可能ってこと。そんで、P320(M17)はどんな口径の弾丸が使えるのかってことだけども、公式サイトによれば、9mm、.357SIG弾、40口径S&W弾らしい。わたしは.357ではコルトの.357マグナム弾しか知らなかったので、オート用の.357弾なんて初めて見た。40口径のS&W弾なんてのも初めて聞いたけど、デスクリプションを読んだら、なんのことはない10mm弾だった。10mmオート用と言ってくれれば懐かしのデルタ・エリートの弾かー。とすぐわかるのだが、Wikiを読んでみたら、10mmオートとまったく同じではなく、もっと短くして威力を弱くしたものらしい。弾薬の規格ってのは本当に沢山あって、素人にはよくわからないわー。私の力では実際には9mmが精一杯で、.22口径が一番扱いやすかった。でも護身用に家に置くなら、この3つのうちならもちろん10mmがいい。やっぱり強力なのは安心感が違うwww。 多様な弾薬が使えるとはいえ、米軍の主要は9mmのまま。アフガニスタンや中東での戦線からの声では、9mmでは「パワー不足」というものがあるそうだ。どういう意味で力不足と言っているのかはわからない。貫通力が足りないのか、制圧力なのか、被弾して即死しないってことなのか。ISやタリバンさんとかアルカイダさんたちが、ケプラー製のベストや防弾プレートとか入れているとは思えないけど、9mmでは即死しなかったケースがあるのかもしれない。FBIの見解では「ちゃんとしたところに当てれば9mmで十分」なんだと。でも戦場では「ちゃんとしたとこ」を狙えない場合だってあるでしょう。自軍が先に発見できるとは限らんし。FBIと軍じゃ相手と状況が違いすぎるので、無下に「FBIが十分だって言ってるだろ」と否定できないよね。ポリマーフレーム
ポリマーフレームは、グロッグでお馴染みというか有名ですね。ポリマー樹脂をつかっているのだが、映画の言うようにX線検査ですり抜けることはできません。かく言う私も、実際にグロッグを握るまではそう思っていました。まったく恥ずかしい。いや、マクレーン刑事がいけないんだ。フレーム部分(スライド以下の部分)のボディがポリマーなどの樹脂製ってだけで、当然ながらスライドやバレル、チャンバー、機関部分などは金属製です。(最近ではスライドや一部機関部分もプラスチックを用いた銃があるらしいですが。)また、当たり前ですが弾薬だって炸薬以外は金属です。だから銃を手荷物に入れていたら、グロッグだろうがP320だろうが、手荷物検査で映りますので、メディアを信じてバカなことをしないように。 ポリマー製のフレームや部品の良さは、軽さ、安さ、加工しやすさ、熱伝導率の低さなどですかね。デメリットであった強度も、近年では改善されているようであまり短所とはなっていないようです。軍用ということでいえば、最大の弱点は長期の紫外線照射による脆弱性でしょうか。炭素繊維なんて使ったらどうなるんだろう。自衛隊用に作ってみてくれないかねー。高価かな。ハンマーが無い(ストライカー式)
最近の自動拳銃はほとんどがこれらしい。初めてハンマー・レスのピストルを試したのはグロッグのG17だったかな。当時、すっごく衝撃を受けた。あるべき部分にあるべき物が無い。リボルバーではシングルアクションにしてハンマーを倒してから、やっぱり撃つのをやめるときには親指でトリガーを抑えながら、トリガーを静かに少し引きつつハンマーを戻す。ってことを空の銃で何度も練習させられた。自動拳銃でも練習させられた。自動拳銃では安全装置があるにも関わらず、「過信せずにトリガーは起こしておけ。」とうるさく言われた。お陰でそれだけは上達した。それなのにグロッグにはハンマーが無い!どうすりゃいいんだよ。まあ、トリガーにセイフティもついてんだし、グロッグは良い銃らしいけど。ストライカー式の詳しい構造は、文字で説明できるほど自分は理解していない。自分はやっぱり古いタイプの人間なのか、やっぱりハンマー式がいい。単に理解できないからかも知れない。ストライカー式の方が、ハンマーにまつわる不発がない。トリガーを引いてから針が信管を叩くまでの時間が短い。トリガーがホルスターや衣服などに引っかからない。などなどメリットばかりだそうだ。高信頼性のセイフティー
公式サイトには『3-Point Takedown Safty 』とか書いてある。読んでみても、余りよくわからないんだが、- マガジンを抜く。
- スライドロックする。
- スライドキャッチレバーを回す。
両面スライドリリースレバー
これまでのM9(ベレッタ92FS)やM1911などでは、確か左側だけにスライドのリリースレバーがついていたが、これがP320(M17)では両面になる。マガジン・リリース・ボタンほどには重要なことだとは思わないけど、職務で銃を携帯する人たちにとってはきっと重要なのだろう。リバーシブルなマガジンボタン
左利きの人には、マガジンボタンが右にあるのはすごく不便なことらしい。自分は右利きなのでよくわからないけど。自分で左手で試しても、それはもともと利き腕ではないので、シミュレーションにならないし。これが左右どちらにも付け替えれるのは、設計上の可能ならできた方が良いに決まっている。細かな部分だけど大事な改良点。3つの大きさのグリップ
大・中・小とグリップの大きさを選べるようだ。フレームの大きなタイプを選べば自動的に大きなギリップになってしまうのか、フレームは大きくてもグリップが小さいという選択もできるのか、自分は良く解っていない。でも、M9を使ってみたとき、グリップが分厚くて握りづらく、トリガーまでが遠い。と感じたので、手の小さい人には絶対にグリップサイズは重要だと思う。トリガーが絞りづらいってことは銃がブレて当たらないと思うし、発射時にホールドしづらくて次弾を撃つまでに余計に時間を要するし。P320(M17)には3種。ポリマー樹脂製。どれもフレームと一体構造みたいだから、自分だけウッド製のメダル入りとか、ゴム製とかに変更できないと思う。まあ、勝手にやったら怒られると思うけど。アタッチメントや夜間照準装置
マズルアタッチメントがつけられるので、サプレッサーをつけられる模様。米軍でも特殊部隊なら支給されるのかなー。トリガーの先のフレーム下部にはレーザーサイトやフラッシュライトなどがつけられるようにレールが彫ってある。これくらいは自衛隊装備でも採用して欲しい。The MHS handgun is a variant of the SIG SAUER® P320® pistol and is equipped with an external safety, an integrated MIL-STD-1913 Picatinny rail for the attachment of light and laser systems, self-illuminating night sights to maintain combat effectiveness in all lighting conditions, and is capable of accepting a sound suppressor.配備を受けた第101空挺部隊のデレク・K・トムソン大佐も、このように言っているので夜間照準機があるのかなー。P320にはいろんなタイプがあるけれど、マズルアタッチメントがあるタイプはP320TACOPS Carryってモデルですね。米軍へはどのモデルを基本として配備されるのかわかりませんが、映像を見る限りと価格を考慮してP320Nitron Full-Sizeというモデルが基本になるのでしょうか。手の小さい人はP320Nitron Compactで、特殊部隊へはFull-SizeのTARCOPSでしょうか。 夜間照準機ってのは、RX-Full、RX-Compactの両モデルのスライド上部についている、電池式のドットサイトではなくて、3点サイトシステムに蛍光塗料が使われているってことなんだと思う。たぶん。スライド上部のドットサイトは『ROMEO1』ってオプションだと思う。誰か教えてくれないかな。 トムソン大佐の言う「self-illuminating night sights」ってのは、違うと思う。大佐が差しているのはたぶんこっちのことだと思います。 こいつのどこが自己発光やねん。というのは以下の通りで、早い話が蛍光塗料をサイトシステムのドットに使っているってことではないかと思います。しかし流石に特殊な蛍光塗料ですな。こんなに強い蛍光色となるとは。これくらいも自衛隊に採用させてあげて欲しいわー。 米軍のピストルは38口径のリボルバーから、45口径(M1910)いわゆるコルト・ガバメントを長らく使い、1986年に、M9(ベレッタ92FS)となっていたそうです。M9は米軍だけでなく、警察やFBIなどの法執行機関にも採用されていることも多いですね。45口径から、9mmのM9になったのはNATO諸国との弾薬の共通性を重くみたようです。「米軍が9mmにするなんて.....」と驚いたし、「こんなモダンで都会的でオシャレな銃にするなんて....」と意外だった。およそ戦場にスライドを大きく削ったベレッタの外観は、不釣り合いに感じました。やっと米軍は、軍用らしい雰囲気のピストルになった気がします。でも警察はこれまでどおりM9でいて欲しいです。警察までカフェオレ色の拳銃なんて、ダサいわ。しかし、本当にカフェオレ色だけなのかなぁー。かっこ悪りいわ。なんで黒がいいかって?
そりゃ「カッコいいからに決まってんだろう(シギント)」
カフェオレ色以外は自衛隊も真似て欲しい
色だけは真似して欲しくないけど、それ以外は日本人向けにもハマるポイントばかりだと思うので、自衛隊の次期制式拳銃にもこんな感じの銃がいいなあ。でも一番改善して欲しいのは自衛隊への扱いかな。待遇や予算、装備、法的地位とか。せめて装備くらい世界屈指の質を与えてあげたい。予算ガー!とか言って自衛隊が負けちゃったら何にもならないでしょう。薬莢数えさせるとか愚行は今すぐにでもやめさせたいわ。とにかくカフェオレ色はやめて。黒やグレーで良い。だってそのほうが「カッコいいからに決まっ・・・」
「9mmではパワー不足」という前線の報告はホントだと思います。簡単に言えば「被弾してもすぐに倒れず反撃される」という意味でしょう。 FBIが「ちゃんとしたところに当てれば9mmで十分」と言ってるのは、命中すると弾頭がひしゃげるハロー・ポイント弾の使用が前提ですが、ジュネーブ陸戦協定で禁止されているダムダム弾と見做されるので、軍隊では弾頭が潰れにくいフルメタル・ジャケット弾の使用となるのです。 フルメタル・ジャケット弾はハロー・ポイント弾よりも貫通力に優れますが、貫通する分、有効なエネルギーを対象に与えていない事になるのです。 実際 貫通銃創より盲管銃創の方がずっと治り難く、深刻なダメージを与えます。
相手を一撃で行動不能にするには顔面の目と鼻を結ぶTゾーンに命中させ脳神経を破壊せねばなりません。 拳銃は相当訓練を積んでも、速射で上記のゾーンに命中させられるのは精々15m程度ですので、FBIはもっと近距離 (精々7m程度)を想定しているのではないかと思います。 対して軍隊の射撃の基本はセンタ―・マス (体の中心) を狙います。 これで被弾した場合、ショックで倒れるというケースも皆無では有りませんが、戦闘中は相手もアドレナリンが漲っていますから、そうそう簡単に倒れず反撃を喰らいます。 先日もっと強力なライフル弾223 (5.56m) で100mの距離から狙撃された事件 (=アドレナリンが漲っていた訳ではない) が有りましたが、撃たれた人は崩れながらも走って逃げまどいました。 最終的に出血多量の為に病院で息を引き取りましたが。
トムソン大佐が「self-illuminating night sights」と言っている件は、貴ご理解が正しいです。 所謂トリチウム・サイトの事ですね。 ROMEO 1の様な光学サイト (ダット・サイト) にしろ、トリチウム・サイトにしろ、標的が視認出来なければ意味が有りませんので、ライトを手で持って片手で撃つなり、レイルに装着したライトを使用して両手で撃つなりする筈です。
Zeke様
とても詳しい解説どうもありがとうございます。
FBIが、ホローポイント使用しているとは知りませんでした。またホローポイントが、ダムダム弾と同じ扱いにされていることも知りませんでした。どうりで、米国では普通にホローポイント弾が売っていて市民も購入できるのに、軍が使用していないことに合点がいきました。
Tゾーンを狙うなんて、切迫した状況で私には至近距離でも到底無理です。初弾を外して相手に殺されちゃいます。わたしは体の中心を狙っても、放物線の弾道を、今ひとつ体得できなかったので、距離によっては手足に着弾なんてザマも少なくありませんでした。
とっても詳しくて助かりました。覚えておきます。ありがとうございました。
スパム対策のためコメント承認が遅れました。ごめんなさい。
自衛隊や警察等が薬莢の数量点検を重視するのは歴然たる理由がある。薬莢が1個見つからないという事は、誰かが人目を逃れて1発撃たず、実弾を盗もうと画策しているか、既に盗み出している可能性があるからだ。国民の血税で調達されたその実弾で殺人事件でも発生したら、当該の行政の長は失脚し、最悪の場合は政権が崩壊する。
軍がホローポイントを使用しないのは人道的観点ではなく、
過酷な戦場では発射前に弾頭が変形しやすく装弾不良を
起こしやすいものなど論外だからってのがまず先にありきです。
ネット上ではジュネーブ陸戦協定の話ばかりが語られていますが・・・