米軍の制式拳銃がベレッタ92FSからSIG P320へ変更へ
2018年4月追記:どうやら、2017年11月には米軍で配備が始まっていたようです。その様子をフォローした投稿がこちらです。米軍M17&M18(SIG SAUER P320)配備始まる。
米軍の次期制式拳銃はSIG SAUER P320へ
CNNによると、米国国防総省が1月19日付けのプレスリリースで、次期制式拳銃計画・XM17 MHS(Moduler Handgun System)に、SIG SAUER P320を採用すると発表した。総額は最大で580,217,000ドル(660億円前後)規模の案件になるそうだ。SIG SAUERとは
wikipediaの同社のページが詳しいが、SIGとはドイツ発祥でスイスの企業連合。大株主はニュージーランドに拠点を置く投資家。もともとは鉄道車両の会社だったが、銃器や無菌パック装置部門を作った。鉄道はフィアットに、銃器は米国に売ってしまい名称をSWISS ARMSーSIG ARMSーSIG SAUERと変遷した。SIG自体は現在は包装容器製造がメイン。よってSIGといっても、銃器のSIGはもはやスイスの企業ではなく、いちおうはドイツ企業。しかし本拠地はニューハンプシャー州ニューイントンとの国防総省のリリースにはある。CNNによれば同州エクセターに子会社がある。とのことで、複雑ではっきりしない。もう面倒だからColtかS&Wにしてよ.....。なんて読むのか
「シグ」はよいとしてSAUERを「ザウエル」と読むか「サウワー」「ザウワー」「サワー」などと読むかは、ドイツやスイス読みするか、英語読みするかなのだろうか。たぶんこれはきっと、MOUSELを「モーゼル」とよむか「マウザー」「マウゼル」と読むかの問題と同じだろう。英語読みするなら「サワー」がよいだろうし、米軍が採用するのだから、米国式に「サワー」とするのが良いのだろう。でも日本ではモーゼルの例もあるように、ザウエルと読むことが多いように思います。郷に入れば郷に従えで、ここでもザウエルにします。SIG SAUER P320とは
同社が2014年に世に出したオートマチックピストル。.40口径と9mmのようだ。グロッグ17のようにポリマー樹脂のフレームでステンレスのスライドになっている。近年の流行りで、いろいろとオプション装備を取り付けるためのマウントレール(ピクティニーレール)も付いている。モジュラー構造が大きな特徴となっており、グリップのサイズがLarge、Medium、Small。フレームやスライドなどはフルサイズ、キャリー、コンパクト、サブコンパクトと4種類もある。使用できるカートリッジは.380ACP、.357SIG、9mmパラ、.40S&W、45ACPなど5種類も対応する。これらを組み合わせて使用できるのが最大の特徴。 米軍にはグリップは3種類、フレームはフルサイズとサブコンパクト、光景は9mmと.40キャリバーで供給する。最大の特徴は、やはりモジュラー構造の採用。銃の外郭は持ち主の身体やシチュエーションによって変化でき、それでいてサブコンパクトのサイズでも45口径も38口径の弾も使えること。素晴らしいですね。ちなみに、モジュラー構造ではないですが、自衛隊でもSIG SAUERのP220のライセンス品を制式拳銃に採用しています。こちらは9mmです。XM17 MHS決定までの経緯
競合他社は9社12種類。10年以上も揉めに揉めて、プロジェクト中止の危機になりながらも、昨年夏に3種類まで絞り込まれたようです。そして先程のリリースどおりSIG SAUER P320ベースになると発表されました。しかし仄聞ですが、昨日グロック社が、入札のやり直しを求めて監査を要求した模様。しかしソースは確認できていない。これまでも政府機関の一部にSIG SAUER P320が採用されて、グロッグ社が採用過程に異議を申し立てるということがあったようだ。独断と偏見ではグロックの申し立ては却下されてP320が採用されるだろう。前回のM9採用の時も、惜しくも不採用となったメーカーから異議申し立てがあったが、聞き入れられなかったし、議会も国防総省も、もうこれ以上のスッタモンダは懲り懲りだろうから。有力だった競合他社と提案拳銃
9社12タイプから、有力候補となった企業と提案拳銃は以下のとおり。- グロッグ社:Glock17/20
- ベレッタ社:APX
- シグ ザウエル社:P320
- S&W社とGD-OTS社連合:M&P
- FN社:Five-Seven マーク2
- チェスカズブロヨフカ(CZ)社:CZ-P09
これまでの拳銃ベレッタ92FS(M9)
これまでの制式ピストルベレッタ92FS通称M9(エムナイン)。それまで長らく制式ピストルであったコルトM1911(ナインティーン・イレブン)通称45(フォーティーファイブ)から1985年に更新された。パワーはあるが反動が大きくて当たりづらく、装弾数が少ない、(M1911の)採用から長らくたっている、各国は新しい拳銃(9mm)を採用している、各国との弾薬の融通性、などなど色々な新しい要求に応えて採用された。米軍の制式拳銃は、当然有力な米国の銃器メーカーとなると信じていただけに衝撃は大きかった。P226との性能差はなく、一部のテストではP226が優秀だったが、92Fが採用されたのはコストであったと記憶しています。さらに親指の安全装置が左右両方についている、マガジンリリースのボタンが左右変更が簡単だったなど、左利きの人にも対応できる。当時は本命視されていたS&Wを退け、最後にSIG P226を退けての採用でした。 米軍のみならず、全州の警察など治安機関でも採用されていった結果、映画やドラマ、ニュース映像などのメディアでも最もよく目にするピストルとなっていた。「ダイハード」や「リーサルウェポン」、「24」などでも散々目にしましたし、米国での採用を皮切りに、各国の群や治安機関での採用も増えました。 当初ベレッタ92Fや84Fなどの、大きく削り込まれバレル剥き出しのスライドは衝撃でした。あれで耐久性は大丈夫だろうかと。しかし国防総省の試験では、連続して1000発だか2000発を撃っても問題がなかったと記憶しています。公式的には10万発の射撃でもスライドは問題ないとされています。80年代にNAVY SEALsでのスライド破損事故があり、スライド部分を熱処理して強化した92FSが開発されて以降、事故は報告されていないがスライドの不安説は消えない。現在では海軍特殊部隊ではSIG SAUER P226を装備しているとのこと。きっと9mmでは力不足で、40口径か、9mmの強装弾を使っているのだろう。なぜM9ピストルから変更するのか
その理由
長らく制式拳銃だったとはいえ、前回の更新よりもまだ年月が浅いM9を更新するのはなぜだろうか。これにはいろいろな理由があるが、最大の理由は女性兵士が増えて、手が大きくない人も増えたことによる。手が小さければ、ダブルカラムで分厚いダブルカラムのグリップを握り、遠いトリガーやトリガーガードに指が十分に届かない。モジュラー式で、フレームやグリップが変更できれば、米軍兵士の身体的な違いもフォローできる。他にも考えられる理由としては想像であるが- 9mmでは力不足の場面が戦場では出てきた
- 内部安全機構(ハンマー廃止のストライカー方式)
- 動作不良の減少
- 耐海水、耐高温、耐低音性能
- メンテナンス性の向上
- 弾薬の耐水性
では新拳銃の条件は
それは変更の理由とほとんど同じ
- より小さな手でもしっかりとホールドできるグリップ
- 9mmとそれ以上の弾薬を使える
- 内部安全機構
- ピクティニーレール装備
- ナイトサイト装備
- サプレッサー対応
- より軽量
- より小さいサイズも可能にする
- 耐低高
- 耐海水性
- 耐水性弾薬の供給
- 特殊弾薬の供給
- 調達コスト
今後の影響
今後警察などではどうなるかはわからないが、米国内での装備ならM9と9mmで十分との意見も出てくると予想されるため、警察やFBIでは変わらないと思われます。しかし、映画やドラマなどの影響は大きいと思われ、今後は多くの作品でP320とそのカスタム品が登場するでしょう。ゲームでは
ゲーム作品でもP320の登場は増えると予想されます。きっとバイオハザードシリーズでも、BSAAなどで制式拳銃がベレッタ92FSからP320かSIG SAUERのピストルに変わっていくと思います。個人的には、警察がベレッタ92FSを使うのはカッコいいと思います。ジョン・マクレーンやマーチン・リッグスがM9を構えるのは絵になった。しかし、シュワちゃんやスタローンがM9構えても、なぜかカッコよくない。絵にならない。米軍にはM1911の方がカッコよかった。45口径のほうが米軍らしかった。「らしい」で選んで良いものではないが、そう思えるのだから仕方がない。 P320はデザインがカッコいい。CZもベレッタのAPXもカッコいい。候補には残らなかったのかもしれないが、ワルサーのP99、H&K UPS P8もFive-Sevenもカッコいい。でもS&WのM&Pはカッコ悪いし、最有力とされたGlockは時にカッコよく見える時もある。しかしそもそも見飽きた。
すごい誤字。半角と全角の混在。重複。校正能力ゼロ。
グロッグ、フォードバック、低音、ダブルカラムで分厚いダブルカラム、
だからオタクは・・・
ご指摘どうもありがとうございます。お見苦しかった点、お詫び申し上げます。